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- 医院・病院の建築をお考えの方へ -
◆ 医院・病院の設計で大切にしていること
開業医の先生の医療に対するポリシーやご要望を伺い、新しい医院に何を求めているのか、を確認することが初めにしないといけないことだと思っています。開業医の先生、医療スタッフ、患者さんそれぞれにとって使い易い、快適な環境づくりが大切だと思っています。
患者さんにとっては通常は数十分しか居ない医院ですが、不安を抱えながらの待ち時間は実際の時間以上に長く感じることがあります。そういう患者さんに対して、待合室の配置や造りを工夫することによって少しでも気持ちが落ち着くような環境を提供することが大切だと思っています。
一方、開業医の先生、医療スタッフにとっては診療の流れに添ったスムーズな動線計画が大切な要素でしょう。院内でのコミュニケーションがしっかりと取れるような環境づくりも重要な要素です。設計者が自己満足のためにデザイン重視の姿勢で設計へ臨むということがあってはならないと思います。クライアントの皆さんが思い描く医院を周辺の環境にマッチするように考え、提案することが大切だと考えています。
◆ シックハウスについて
近年、新築の建物の健康に対する関心が高まっていますが、その引き金になったのはシックハウス症候群と呼ばれる健康被害です。シックハウス症候群とは、新築病とも呼ばれ、建築に使用される建材や家具などから出る化学物質が原因となって発生する不快感、頭痛、せき、アレルギーなどのさまざまな病的な症状のことをいいます。発生の程度は個人差がかなりあるようです。シックハウス症候群の中でも、最も問題視されている有害物質が、合板、木質建材、壁紙、家具に含まれるホルムアルデヒドです。ホルムアルデヒドの影響は、皮膚炎、呼吸器疾患、神経障害などであり、発がん性も指摘されています。ホルムアルデヒドは無垢の木には含まれませんから、天然の木の良さが見直されています。近年増えている高気密・高断熱の建物では、発生したVOC(揮発性有機化合物)が、こもりやすく、これが健康被害を増長させます。風が通り抜けられないような間取りになっている建物ではVOC(揮発性有機化合物)を屋外へ排出する為、1日中換気扇を回しておく必要があります。その為、窓の配置や間取りが重要になってきます。余談になりますが、観葉植物はVOC(揮発性有機化合物)を吸収してくれるといわれています。ホルムアルデヒドには、ポトス、アマリリスなどが有効であり、ゴムの木、アイビー、ベンジャミン、カポックなども効果があるそうです。その他の健康被害としては、ダニやカビによるアレルギー疾患があります。特に影響が大きいのは免疫力の弱い子供、高齢者、病人などに対してです。カビやダニが発生する原因は、高湿度による結露が最大の要因です。特に、梅雨の時期には部屋の湿度をいかにして低く抑えるかが重要になります。自然素材の木や紙や土は調湿作用がありますから、湿度の高い時は湿気を吸ってくれます。冬の時期には家全体の断熱性の向上が結露防止につながります。特に、真冬には窓のガラス部分や枠から熱が一番逃げ易くなりますから、ペアガラスや樹脂サッシにすることによって結露を防ぐことができます。
◆ 地震・台風に強い建物について
1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災で多くの建物が全半壊し、多くの人が建物の倒壊によって亡くなりました。震災後、しばらくの間は耐震性の重要性が色々なところで取り上げられていましたが、月日が経つにつれて、だんだんと関心が薄れているような気がします。建物に最低限必要な条件は、雨・露をしのぎ、安全に過ごせることだということを、常に念頭に置いておく必要があります。その上で、機能性や快適性・デザイン性を加えられてこそ真に価値のある医院になるのだと思います。 地震・台風に強い建物のいくつかの条件を挙げておきます。構造形式は木造、鉄筋コンクリ−ト造、鉄骨造などいくつかありますが、共通していえる事項が多くあります。
@事前に地盤調査をし、地盤の強度に応じた適切な基礎形式を採用すること。
A地震に耐えれる耐力壁をバランスよく配置すること。偏った配置は不可。
B床面や屋根面の水平剛性を高めること。これによって建物のねじれを防ぎます。
C木造の場合、柱と土台・梁などの部材同士を耐震金物でしっかりと補強すること。
D鉄筋コンクリート造ラーメン構造の場合、経済的で構造的に無理のないスパン
(柱と柱の間の距離)は7〜8メートル程度です。
各構造の特徴については他のページ「知っておきたい建築用語」で説明していますので、ご覧ください。
◆ 特殊解としての医院・病院設計
全ての医院は敷地条件が違い、開業医の先生の医療に対するポリシーやご要望がありますから当然、同じ医院は有り得ないものだと思います。
ハウスメーカーの造る医院は同じ外観・同じ仕様のものが数多く存在しています。地域性など色々な条件を考慮した上で初めて最良な医院の計画ができるのです。
◆ 間取りのパターンの色々
1.高さ方向の違いによる分類
@平屋建て
階段が不要なのでスペースを有効に使え、高齢者や肢体不自由者の患者のためにバリアフリーにすることが容易な型です。ただし、敷地が狭い場合は不可能な場合があります。
A2階建て
医院併用住宅に多い型です。平屋建てに比べて、階段のスペースが余分に必要になります。一般的には、2階部分を住居空間とし、1階部分を医療空間にするパターンが多く見られます。敷地が狭い場合は1階を車庫にして2階を診療スペースにする場合もあります。
B吹き抜けのある型
居室の上部に吹き抜けをとって開放感のある空間を得られる型です。高窓やトップライトがとれるので、自然光や風を十分に取り入れることができ明るく気持ちのいい空間が可能です。ただし、日の沈んだ真冬の夜間には、床暖房を取り入れるなど寒さ対策が必要になります。
C中2階のある型 (スキップ・フロア型)
1階と2階の中間の高さに床を設ける型です。天井高を低くすることが可能な車庫を1階に設ける場合や傾斜地の場合にみられるパターンです。中2階の部分の天井高を高くして開放的な空間にすることが可能です。
2.水平方向の型の違いによる分類
@長方形の型
壁の凹凸が無く、最も経済的な間取りのパターンです。ただし、無理にこの型にあてはめようとすると、使いづらい医院になることがありますので注意が必要です。
Aコの字型
中間の部分にテラスや中庭を設けることができ、日当たりが良く、風通しのいい開放的な空間を設けることが可能な型です。
B雁行型
雁行状に部屋を配置して日当りが良く、変化のある外観が可能な型です。
Cロの字型 (中庭型)
中庭を取り囲むように部屋を配置することができ、各部屋から人の気配を感じることができる型です。街中などで敷地周辺に建物が密集している場合に外部からの人の視線が気に掛かる時に、中庭に開いた窓を設けてプライバシーを守れます。日光や風を中庭から取り込むことが可能です。
◆ 建物のデザインスタイル
@モダンスタイル
「飾り気のないものが美しい」という、飾りを取り去ったシンプルなデザインスタイルです。典型的な色調に、白黒やグレーだけのモノトーンがあり、コンクリート打ち放しはその典型です。塗装仕上げやクロス貼りで白壁仕立ての仕上げも多いパターンです。オフホワイトなどの一色だけで質感の異なるさまざまな材料によって変化をつける手法もあります。モダンデザインらしいスマートな中に豊かな表現ができます。モダンスタイルにおいては、室内全体を3色以内に制限した色使いを基本とします。イタリアンモダンスタイルでは赤や黄色などの原色を使った色使いをします。
Aナチュラルスタイル
木や土・紙などの素材感を出したデザインスタイルです。内外壁や床・天井部分の多くに自然素材を使い、暖かみのある空間ができます。木や土の豊かな香りも自然素材ならではの特徴になります。ナチュラルスタイルにおいては、ベージュ系やホワイトを色使いの基本とします。
◆ 医院・病院建築のための資金計画
1.土地購入時の費用
土地代金・宅建業者仲介手数料・売買契約書印紙代(印紙税)・登録免許税(土地所有権移転登記)・土地所有権移転登記手数料(司法書士への報酬)
2.医院建築時の諸費用
地盤調査費・建築工事費・工事契約書用印紙代・建築確認申請料・中間完了検査手数料・水道加入金・建物表題登記(土地家屋調査士への報酬)・所有権保存登記(登録免許税+司法書士への報酬)・各祭典費用(地鎮祭、上棟式、近隣挨拶費)・引越し費用
3.設計監理費 (当社にお支払いして頂く費用です。)
設計監理費については他のページ「設計料について」で説明していますので、ご覧ください。
4.融資(ローン)に必要な費用
契約書印紙代・融資機関に支払うローン手数料・保障会社に支払うローン手数料・火災保険料・地震保険料(任意)・登録免許税+司法書士への報酬・抵当権設定料
5.建物取得後に必要な費用
不動産取得税・固定資産税・都市計画税・備品購入費(家具・カーテン・カーペットなど)
6.建て替え時に必要な費用(同一敷地の場合)
工事会社に支払う建物解体費・建物滅失登記(土地家屋調査士への報酬)・引越し費用・仮医院家賃(敷金・礼金含む)・仮医院改装費・仮医院宅建業者仲介手数料
※ 建築工事費の目安 (仕様や床面積によって幅があります。)
@木造(25〜50坪)の場合…55万〜75万円 / 坪(床面積)
A鉄骨造(25〜50坪)の場合…70万円〜 / 坪(床面積)
A鉄筋コンクリート造(25〜50坪)の場合…80万円〜 / 坪(床面積)
医院建築のための総費用の例を挙げてみます
1350万円で土地を購入し、3000万円(消費税別)の医院を建てる時の総費用は次のようになります。設計監理費は、当社の設計料率表より3000万円×13.55%×1/100≒406万円となります。延べ床面積40坪程度の医院の場合、その他の費用は370万円程度必要になります。(医療機器・家具・カーテン・カーペット代は含みません。) これら全ての費用を合計すると、5126万円(消費税別)が必要な総金額となります。
このページの内容は随時追加していく予定です。
TEL:0836-35-3223
FAX:0836-35-3298
E-Mail:atelierk(a)if-n.ne.jp
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