125u(≒38坪)の木造の住宅新築の場合でその計算を告示第15号に基づき行ってみましょう。
1.まず算定根拠を求めます。
◇略算表・戸建て住宅(詳細設計を必要とするもの)告示第15号別表第14類 (単位 : 人・時間)
床面積の合計 |
100u |
150u |
200u |
300u |
(一)設計 |
総合 |
350 |
490 |
610 |
850 |
構造 |
81 |
97 |
110 |
130 |
設備 |
110 |
130 |
140 |
150 |
(二)工事監理等 |
総合 |
180 |
240 |
290 |
390 |
構造 |
30 |
48 |
66 |
100 |
設備 |
38 |
49 |
59 |
77 |
|
左の表より125uの場合の標準業務量は100uと150uの中間の値を出します。 設計:総合 350+(490-350)×25/50=420 設計:構造 81+(97-81)×25/50=89 設計:設備 110+(130-110)×25/50=120
監理:総合 180+(240-180)×25/50=210
監理:構造 30+(48-30)×25/50=39
監理:設備 38+(49-38)×25/50=44 合 計
|
設計合計:629人・時間
監理合計:293人・時間
設計監理:922人・時間 |
上記標準業務量は、一級建築士免許取得後2年相当の技術者で換算した業務量となっています。
◇国土交通省 平成22年度設計業務委託等技術者単価(人件費)
|
◇業務報酬の算定
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技術者の職種 |
基準日額(円) |
時間額(1/8)(円) |
採用単価 |
主任技術者 |
56,900 |
7,112 |
- |
理事・技師長 |
52,100 |
6,512 |
- |
主任技師 |
45,900 |
5,737 |
- |
技師(A) |
38,900 |
4,862 |
- |
技師(B) |
31,300 |
3,912 |
- |
技師(C) |
26,500 |
3,312 |
○ |
技術員 |
23,000 |
2,875 |
- |
|
|
|
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|
a.直接人件費 〔標準業務量+追加的な業務量(オプション業務)〕×人件費単価 b.直接経費+間接経費の合計額(=a.直接人件費)告示第四より
@a+b=a×2←b=a×100% (標準)
A.特別経費(県外出張料等)
B技術料等経費(@×10%)←@×(10%〜25%)
業務報酬=@+A+B |
技師(C):「上司の包括的指示のもとに一般的な定型業務を担当する。また,上司の指導のもとに高度な定型業務を担当する。」と定義されています。
2.上記根拠を踏まえ、規定に応じた業務報酬算定します。(規定報酬と言います。)
922(人・時間)×3,312(円・時間)×2(経費)}×1.1(技術料)≒671万円
上記のように国土交通省の算定基準に依ると現実にそぐわない大きな金額になってしまいます。
3.当社では独自に任意設定し、現実的な算定をしています。
時給を1,700円、経費を直接人件費の0.1倍に設定し、技術料は算入しないことにしています。
上記の条件で125uの新築木造住宅の場合の設計料を計算すると次のようになります。
922(人・時間)×1,700(円・時間)×1.10(経費)}×1.00(技術料)≒172万円(税別)
※ ちなみに時給1,700円の技術者の場合、年収は1700円×8時間×25日×12ヶ月=408万円となります。
上記の計算方法で当社の業務報酬を算定します。
戸建て住宅(詳細設計及び構造計算を必要とするもの) (第13類)RC造や鉄骨造、木造3階建て等 |
床面積の合計 |
100u |
150u |
200u |
300u |
設計・監理業務報酬 (税別) |
225万円 |
263万円 |
294万円- |
349万円 |
戸建て住宅(詳細設計を必要とするもの) (第14類) 一般的な木造平屋・2階建て等 |
床面積の合計 |
100u |
150u |
200u |
300u |
設計・監理業務報酬 (税別) |
147万円 |
197万円 |
238万円- |
317万円 |
その他の戸建て住宅 (第15類) 規格住宅等(確認申請に必要な図面のみ) |
床面積の合計 |
100u |
150u |
200u |
300u |
設計・監理業務報酬 (税別) |
ー |
ー |
ー- |
ー |
医療施設(病院・診療所等) (第10類) |
床面積の合計 |
300u |
500u |
750u |
1000u |
設計・監理業務報酬 (税別) |
437万円 |
583万円 |
723万円- |
830万円 |
商業施設(店舗・料理店・スーパーマーケット等) (第5類) |
床面積の合計 |
300u |
500u |
750u |
1000u |
設計・監理業務報酬 (税別) |
437万円 |
512万円 |
572万円- |
641万円 |
業務施設(事務所等) (第4類) |
床面積の合計 |
500u |
750u |
1000u |
1500u |
設計・監理業務報酬 (税別) |
468万円 |
564万円 |
648万円- |
791万円 |
教育施設(幼稚園・小学校・中学校・高等学校等) (第7類) |
床面積の合計 |
500u |
750u |
1000u |
1500u |
設計・監理業務報酬 (税別) |
503万円 |
675万円 |
820万円- |
1080万円 |
福祉・厚生施設(保育園・老人ホーム・老人保健施設・リハビリセンター等) (第11類) |
床面積の合計 |
500u |
750u |
1000u |
1500u |
設計・監理業務報酬 (税別) |
534万円 |
658万円 |
777万円- |
998万円 |
共同住宅(公営住宅・社宅・賃貸共同住宅・寄宿舎等) (第6類) |
床面積の合計 |
500u |
750u |
1000u |
1500u |
設計・監理業務報酬 (税別) |
531万円 |
641万円 |
759万円- |
921万円 |
物流施設(車庫・倉庫・立体駐車場等) (第1類) |
床面積の合計 |
500u |
750u |
1000u |
1500u |
設計・監理業務報酬 (税別) |
253万円 |
299万円 |
340万円- |
403万円 |
★ 当社の業務報酬はこの表が目安になりますが総予算に依り、その都度ご相談に応じさせていただいております。
次に、当社での実例を挙げて設計事務所に設計を依頼するメリットを説明します。
木造戸建て専用住宅の当社による実施設計図面をもとに施工会社3社に見積もりを依頼したところ、次のような結果になりました。
A社 2360万円・B社 2160万円・C社 2140万円で、最高金額と最低金額の差は220万円になりました。
上記のように数社に見積もりを依頼すると工事予定金額の10%〜20%程度の差がでることが多くあります。
最終的には最低金額の見積もりを提出したC社と見積もり内容の再チェックを行った結果、材料の単価が高すぎたものなどがあり、それを下げたりすることによって建物の質を落とさずに、2000万円以下になりました。
工事予定金額が2000万円(床面積125u程度)の場合の当社のいただく業務報酬は上記の計算のように170万円程度になりますから、これだけを見ただけでも設計事務所に、設計を依頼するメリットがあるということが分かっていただけると思います。
仮に、もし建て主が当社に設計を依頼せずに、A社に施工を依頼していたら、一般の人では見積もり内容のチェックは出来ませんから工事金額が2360万円ということになり360万円も高い金額を払うハメになっていたわけです。
仮に、もし建て主が当社に設計を依頼せずに、C社に施工を依頼していたとしても、一般の人では見積もり内容のチェックは出来ませんから工事金額が2140万円ということになり140万円も高い金額を払うハメになっていたわけです。
もう少し細かく説明すると、3社の見積もり金額には当然、設計料は含まれていません。仮に設計・施工で見積もりを依頼した場合は設計事務所のチェックがありませんから上記見積もり金額より高い見積もりが提出される事が予想されます。
この後で、ご説明しますが他にも設計事務所に設計を依頼すると、たくさんのメリットがあります。
1.設計事務所の設計料について
1.施工業者の設計料
設計料・監理料の認知度ですが、まだまだ低いのが現状です。
設計事務所に設計を依頼すると設計監理料の金額分、家が小さくなってしまうのではないかとか、内装のグレードが下がってしまうのではないかとか、キッチンや浴室などのグレードが下がってしまうのではないかとか、設計監理料分でダイニングセットや応接セットが買えるとか、そういう感覚を持っておられる方が多いです。
そして、ハウスメーカーや工務店の「設計料は掛かりません!」という言葉に騙されてしまいます。
手抜きのない、しっかりした、良質の建物を建てるには多くの詳しい設計図面が絶対に必要です。
ハウスメーカーや工務店は設計図面は建築確認申請に必要なだけの最小限の設計図しか作りませんが、それでも設計する為には人件費が必ず掛かります。
無料で設計が出来る訳がないので、実際は見積もり金額の中に含まれています。皆さん、「無料」という言葉に騙されているのです
。
2.設計事務所の設計・監理料
設計事務所の設計・監理料はその殆どが人件費です。
設計料は敷地調査や建主との打合せやプランの構想を練る時間、図面を書くのに必要な時間、役所と折衝する時間、材料や色の検討時間、材料メーカーとの打合せ時間などを合計した人件費です。
監理料は現場に数多く行く時間、業者との打合せ時間、建主との打合せ時間、そのトータル時間に人件費を掛け出てくるのが監理料です。
上記を足した金額が「設計・監理料」となります。
設計時の打合せ用のA4ファイルが数冊になることもあります。それに40坪程度の一般的な規模の木造専用住宅でも実施設計図はA2サイズで30枚程度となります。これだけでもかなり多くの時間が必要です。
監理の時でもA4のファイルが数冊になるほどの打合せ内容となります。そして、現場の監督とはほぼ毎日、電話やFAXでやり取りすることになります。
現場にも数多く出向きます。重要な部分や隠れてしまう部分を見逃さないように現場に足を運びます。そして、設計図面通りに工事が進んでいるか、勘違いや手抜き工事がないかを確認するために現場に行きます。
必要があれば土地を探す段階で依頼主と同行して、現地を実際に見に行くこともあります。時には、建設資金の融資先を探し、依頼主と同行して打合せに行くこともあります。
設計事務所はそれだけ多くの仕事をこなしていますが、 私共は「設計・監理料」を建主の予算に合わせて調整させて頂いています。
建主が家造りに掛けられる「総予算」を把握し、建設費や外溝費用、登記などの各種登録料や上下水道の加入金、引越し代、カーテンや家具の購入費用などとの割り振りを考えながら算出し、ご相談させていただいています。
資料をお持ちして、「どの程度の内容を業務範囲とするのか」、「どこまで設計をして、どこまで監理をするのか」、「その手間がどの位になるか」などをお話しさせて頂きます。
内容をご確認いただいて、相談させて頂きながら、「設計・監理料」を決めさせていただいています。
2.設計事務所の仕事について
1.図面の必要性
建物を図面化するというのは大変な作業です。
その作業をする事で、建主の意思や設計事務所の考え方を工事業者や職人さんに伝える事が始めてできます。
「意思」を伝える為には、図面は必要不可欠です。
ハウスメーカーなどは標準仕様の図面があるから特別な図面はあまり必要ないのです。
標準仕様と違う事をしようとするとすぐに「コストアップになります」という言葉が返ってきます。結果的に希望のものをあきらめるハメになることも多いようです。
2.模型やパースの必要性
建物を図面だけで理解してもらおうと思っても、建築の専門家でない一般の建て主には分かりづらいようです。
模型やパースなどを使って立体的に示して、説明することも必要になってきます。
3.設計事務所の工事監理について
1.施工業者の現場管理
ハウスメーカーや工務店の場合、建主が打ち合わせをするのは現場担当者の他に営業マンや工務店の社長の場合あるようです。
この営業マンや社長は現場にはあまり顔を出さず、現場担当者や大工の棟梁が工事の全てを取り仕切っている場合が多くあります。
現場担当者もいくつもの物件を掛け持ちで担当することが多く、一つ一つの現場をしっかりと管理することが出来ないことも多くあるようです。
欠陥住宅は手抜き工事をしたくてやっている訳でなく、忙しかったり、間違いがあったりして、起きてしまうことも多いと思います。現場担当者の経験不足という場合もあるでしょう。
2.設計事務所の工事監理
設計事務所は建主から業務報酬を貰うので依頼主の利益を守る立場にあります。ですから、設計事務所の建築士に監理をしてもらうと建主は安心して家の完成を待つ事ができます。
そうでないと、建主本人が心配で何度も現場確認をしなければならない事態が発生します。
又、建主が確認したとしても良いのか悪いのか解らない場合が多いのではないでしょうか。
設計事務所の建築士は構造や仕上げ・設備配管などが設計図面の通りに出来ているかを、工事の進捗状況に応じて確認を行います。
当然設計図の通りに工事がされていなかったり、手抜き工事があった場合はすぐに手直しの工事をさせます。
3.工事業者と設計事務所の関係
工事業者にとって設計事務所は専門知識があるので気が抜けない存在です。しっかりした工事をしないと、すぐ指摘をされ手直し工事をしなく てはならなくなるからです。
建主が一番注意しなければならないのは建築に関して素人という事で、工事業者に「手抜きをしてもわからないだろう」と思われる事です。
そのため設計事務所に依頼すると、建主の安心感につながると思います。
工事業者は通常、「設計事務所」というだけで気を使います
4.工程監理
建主が家の建設中、借家住まいをしていた場合、工事が遅れてしまうと余計な借家料を払わなければなりません。
そういう意味でも工事の完了日を契約書に書き入れ、遅れた場合の借家料などは工事業者が負担するという約束をする必要があると思います。
設計事務所は工程に遅れがないかを常にチェックしてゆきます。遅れがある場合は、どうすれば遅れを取り戻せるかを検討します。
以上が設計事務所が監理をした場合の主なメリットです。
5.色彩計画
工事が進み、大体の建物の形が分かってきた頃に、外観と内観の色彩計画を具体的に提案させて頂きます。
色のバランスは家全体で考えなければなりません。設計士のセンスの問われる要素の一つです。
6.設計事務所のチェック
工事が完成した時点で設計事務所の担当者が検査を行います。
設計図に書かれているもの、見積もりに入っているものが工事をされているか、各設備機器の試運転は済んでいるか。
又、本当に使用出来るか。建具などの「動き物」はスムーズか。床や壁の歪みは無いか。穴などの補修を忘れた部分はないかなどを検査します。
7.建主のチェック
家が完成し設計事務所の検査が終わると、建主にも施主検査をして頂きます。
この時、いっしょに湯沸機や洗浄機、換気扇、エアコン、電気の盤の位置などの設備機器の取り扱い説明をさせて頂きます
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